今回、書評を書かせていただくのは、 【書籍名】 白川 克 (著), 榊巻 亮 (著) / 株式会社 日本経済新聞出版社 という本です。 私の手元に、ご恵贈いただいた本書が到着していましたので、早速、拝読させていただきました。 みなさんは、どれくらいのスピードで本を読まれるでしょうか…? 私は、そんなに遅い方ではないと思ってます。 なので、 1冊の本を3週間かけて読む… なんてことは、あまりありません。 それと、もう1つ、 1度読んだ本を、5度、6度と読み返す… ということも、あまりしないんです。 そんな私が、今回だけは、 3週間以上かけて、この本を何度も何度も読み返した… のです。 なぜかと言うと、この本には、 それほど有益な情報が詰まっていた… ため、 1回だけでは終われなかった… からなんです。 この本を読むまで、 こんな実践に耐えうるノウハウ本がいつか出ないかな… と心のどこかで、いつも思っていました。 そんな待ち焦がれていた本が、突然に目の前に表れたのです。 嬉しくてしょうがないというのが、今の正直な気持ちです。 では、まず、 この本ってどんな本なの…? というところをザックリと説明します。 業務改善の教科書… タイトルだけ見ると、ちょっと固そうなので、 「えー、なんだか難しそう…」 と感じると思います。 私も、最初見た瞬間、 難しそうなタイトルだけど…、論文のような内容だと、読むのに苦労するな… と、たしかに不安になりました。 で、読み始めたら…。 驚くことに、いい意味で、期待を完全に裏切ってくれたのです。 難しいどころか、 ここまで分かりやすく、親切丁寧に教えてくれるの…!! と逆に感動したぐらいです。 一般的に、こういった本は、 コンサルティング会社が使う方法論の概要… が書かれていることがほとんどです。 言い換えれば、 概要は分かるが、実際の現場では使えない… という内容です。 なぜ、こんな内容が多いのかというと、 それが、コンサルティング会社の「肝の部分」… だからです。 だから、ノウハウの全部をオーブンにできないのです。 なのに、白川氏、榊巻氏、両氏は、 惜しげもなく、すべてのノウハウをオープンにした… のです。 一人でも多くの読者のプロジェクトを成功に導くために、 執筆に2年半もの長い長い時間を掛け、苦労に苦労を重ねて… この本を世に出してくれたのです。 これは、もう読まなければ、損です。 それでは、内容をザックリと紹介していきます。 構成は、5部からなっています。 プロローグ 第1部 「どんな変革か?」をざっと描く 第2部 現状調査/分析 第3部 将来の姿を描く 第4部 計画の価値を示し、Goサインをもらう あとがき 索引 その下に続く章立ては、なんと26章立てです。 A 変革を立ち上げよう B 立ち上げのためにすべきこと C まずは同志を集めよ D 変革のゴールを決める E なぜ良くなるかを端的に示す F ゴールやコンセプトをどうやってひねり出すか? G タイプ別、変革の落とし穴 H トップの支援を取り付ける I プロジェクト体制を固める J 業務とシステムを棚おろす K プロのヒアリング技術 L 課題を特定する M 分析は「構造化と実感」 N 分析の7つ道具 O 施策をひらめく P 業務改革の王道施策6選 Q ダメ施策を捨て、良い施策を残す R 施策を練り上げる S 抵抗勢力と向き合う T 変革に関係者を巻き込め U マスタースケジュールを描く V リスクを把握し、対応する W プロジェクトの価値をお金で示す X 計画の価値を高める Y 投資決裁を突破する方法 Z Just Do It! そして、この下には、まだ節が続くんです。 この構成を見て、既にピンときた人もいるのではないでしょうか…? ここまで、細かく分かれていて、その上、索引まで付いていれば、 辞書として使える… ということです。 今調べたい情報… 今欲しい情報… がピンポイントに調べられるのです。 これこそまさに、白川氏、榊巻氏、両氏が目指した、 実践で使える実務書… なのだと実感しました。 「でも、詳しい内容はどうなの…、難しくないの…?」 こんな疑問を持たれるかもしれません。 実は、こここそが、この本のすごいところなんです。 この本の、プロローグのところにも書かれているんですが、 「ケンブリッジのポリシーの一つはOPENですから。普段一緒に仕事をしているお客さんにも全てノウハウは公開しています。変革が成功すればそれでいいんです」 この精神が、全ページに貫かれているのです。 つまり、白川氏、榊巻氏、両氏が、 持てるノウハウのすべてを実践で使えるように書き出してくれている本… だということです。 たとえば、第2部、「現状調査/分析」の「J 業務とシステムを棚おろす」の章。 現状の調査では、5W1H「だれが・どこで・なにを・どのように・どのくらいの頻度で・なんのために行っているのか?」について、片っ端から書き出すのが基本になる。これを「棚おろし」と呼ぶ。 棚おろしには非常に手間がかかるが、この手間を惜しまない方が良い。 ……中略 いくら手間を惜しむなと言っても、短時間でやるに越したことはない。そのためには調査フォーマットを事前に作成し、埋めていく方法がもっとも手堅い。フォーマットがあれば「何をどのくらいの細かさで調べるのか」について、事前に決められているからだ。「調査はカタチから入れ!」と言ってもよい。 ここでは、このような書き出しから始まり、この後、実際にプロジェクトで使える 「4大調査フォーマット」 の使い方のポイントを解説してくれています。 また、同じ第2部の「分析の7つ道具」の章では、変革プロジェクトでよく使う、代表的な7つの方法論を、 「分析の7つ道具」 として、実際のプロジェクトの事例を交えて、ポイントを分かりやすく解説してくれています。 ようするに、 この本のどこを切り取っても、読めばすぐ実践に応用できるようになっている… ということです。 まさに、 使う人の立場に立った実践的教科書… であり、白川氏、榊巻氏、両氏の、 「お客さまの変革が成功すればそれでいい!」 という、熱い思いが詰まった、至極の1冊だということです。 「実務家の実務家のための教科書」 ―― 今まで、この本のような、本当の教科書と呼べる実務書は、あまり世に出ていません。 なぜなら、最初にも書いた通りで、 それが、コンサルティング会社の「肝の部分」… だからです。 なので、私も、 なぜ、この本を世に出したのか…? これが疑問でした。 しかし、あるページを見て、その疑問がスッキリと解決したのです。 このページには、あの世界的に有名なコンサルタント、トム・ピーターズ氏の教えと同じことが書かれていたのです。 そのページに書かれていた内容とは、 同じ釜のめしを食え。 ともに悩み、ともに休む。 この写真には3部署から来たメンバーが混ざっているが、もはや区別はつかない。同じ場所や時間を共有するというのは、昔からチームビルディングの基本だ。 このような内容です。 あのトム・ピーターズ氏も、 異なる部門間のコミュニケーションが、組織にとってのナンバーワンの課題… だと言っています。 そして、それを解消するには、 ランチに行け! と声を大にして言っているのです。 まさに、真実です。 1万回の会議より、たった1回の食事の方が、問題解決には有効なんです。 なので、この「同じ釜のめしを食え」の部分を見たとき、白川氏、榊巻氏の両氏が、 本気で、この本の読者の会社を変えたいと思っているんだ…、だから惜しげもなくノウハウを提供しているんだ… ということがハッキリと理解できたというわけです。 この本はある意味、画期的な本だと思います。 だからこそ、多くの悩める人たちにとっての、貴重な道しるべになるはずです。 結果を出したいリーダーの方、またリーダーになろうとする方、ぜひ、この本をお手元に置いて、教科書として使ってください。 きっと、みなさんのお役に立つはずです。 最後になりますが、 良書に出会えたことを、心より感謝いたします。 happy 拝
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 山口 拓朗 (著) / 株式会社 こう書房 という本です。 私の手元に本書が到着していましたので、拝読させていただきました。 まず、みなさんに伝えておきたいことがあります。 それは、 本書を読むときは、赤ペンまたは付箋(ふせん)、ノートなどを用意しておく… これをお薦めします。 最初から、 なんでなの…? と思われたかもしれませんが、これには訳があるんです。 実は私が、この本を読んで付箋(ふせん)を付けた箇所、 なんと、73箇所… 拝読後、ボランティア団体を通じて寄贈する予定ですので、ズバズバと赤ペンでラインが引けなかったのですが、もしラインを入れていたら… 想像するだけでも大変なこと――ラインだらけ――になっていたこと間違いなしです。 これほど本書には、参考になるポイントが満載なんです。 ですので、みなさんに前もってお知らせしておきたかったという訳です。 では本書は、一体どんな本なのでしょうか? ここが気になるはずです。 一言でいえば、 持ち歩きたい一冊… です。 本書の中に書かれている、12のタイプ別会話テクニック。 これは、持ち歩いてこそ真価を発揮するように思います。 何かと人と会うことの多い現代社会、好む好まざるにかかわらずコミュニケーション能力が問われます。 だからといって、全員がコミュニケーションの達人ではありません。 コミュニケーションが苦手な人も必ずいるのです。 そんな人も、この本をカバンの中に入れておけば、もう安心です。 たとえ話す相手が苦手なタイプであっても、ちょっとパラパラッとめくって対処法のポイントを確認するだけで、コミュニケーションの取り方の方向性が見え、気持ちも楽に会話ができるはずです。 これについては、山口氏がズバリ書いてますので、その言葉を引用させてもらいます。 ……自由自在に使いこなせるに越したことはありませんが、自分が苦手とするタイプを把握しておくだけでも、心の負担がずいぶん軽くなるはずです(苦手なのは、その「人」でなく、「タイプ」だと思えるようになるからです)。…… 思わず、 そう、そう、そうなんです… というぐらい、核心を突いています。 これも、プロのライターであり、プロのインタビュアの山口氏だからこそ見抜けた人間の本質だと言えます。 買ったその日から即使える、実践的な内容の本書。 あなたのお手元に置いて、ぜひ活用してみてください。 そうすれば、きっと、この本の真価を感じてもらえるはずです。 それでは、内容をザックリと紹介したいと思います。 構成は、5章立てで、 第1章 「性格プロファイル」で苦手な初対面とおさらば! 第2章 実践「性格プロファイル」1分で初対面の相手を見抜く方法 第3章 タイプ別解説&会話を続かせるコツ その(1)「積極会話派」 第4章 タイプ別解説&会話を続かせるコツ その(2)「消極会話派」 第5章 タイプ別解説&会話を続かせるコツ その(3)「バランス会話派」 このようになっています。 第1章、第2章では、「性格プロファイル」をする上でのポイント、相手を見抜く方法が、分かりやすく書かれています。 さすがプロのライターと言いたくなるほど、テンポ良く、そして分かりやすい文章で書かれているので、サクサクと読み進められます。 拝読中たくさんの付箋(ふせん)を付けたのですが、その中でも注目したのが、第2章の、 相手を見抜く最終兵器「ホメあいさつ」… の項です。 本音を言うと、 この項のテクニックは口外してほしくなかった… と思っています。 なぜかと言うと、それほど貴重なテクニックなんです。 ネゴシエート(交渉)や、説得の技術の一つとして、応用できるテクニック… このお金を出してでも勉強したい貴重なテクニックを、山口氏は本書の中でサラッと書いてくれているのですから、その心意気には頭が下がります。 本当は詳しく書きたいのですが、このテクニックは本書の肝とも言える部分ですので、知りたい人は、ぜひ本書を購入して読んでほしいと思います。 続いての、第3章、第4章、第5章は、タイプ別の解説と会話を続かせるコツが図解入りで分かりやすく書かれています。 分類は、 積極会話派 ◎「盛り上げタイプ」(イメージ=島田紳助) ◎「大阪おばちゃんタイプ」(イメージ=明石家さんま) ◎「自信家タイプ」(イメージ=小泉純一郎) ◎「お山の大将タイプ」(イメージ=ジャイアン) 消極会話派 ◎「ねちねちタイプ」(イメージ=野村克也) ◎「サムライタイプ」(イメージ=市原隼人) ◎「日和見タイプ」(イメージ=ココリコ田中) ◎「人見知りタイプ」(イメージ=つぶやきシロー) バランス会話派 ◎「番組司会者タイプ」(イメージ=タモリ) ◎「仏様タイプ」(イメージ=美輪明宏) ◎「切れ者タイプ」(イメージ=イチロー) ◎「天然タイプ」(イメージ=上地雄輔) この12のタイプに分けられています。 この分類で感じたのは、 山口氏は実に人間観察を熱心にされている人だな… ということです。 普通の人なら、 性格を複数のタイプに分類しなさい… と言われても、せいぜい分類できて3つか4つです。 極端な例を言えば、 パンダの顔を分類しなさい… と言われてもできないのと同じです。 普段からパンダの研究をしてないと、パンダの顔の分類なんて、一般の人にできるわけがないのですから…。 山口氏が、性格を12のタイプに分類できたのは、さまに人間観察眼の賜物(たまもの)です。 この鋭い人間観察眼で、分類されたタイプですので、一読の価値があることは、みなさんにもすぐにご理解いただけるはずです。 それともう一つ、この12タイプの分類は、図解あり実践例ありで実に読みやすく、そして、すぐに理解できるように構成も工夫されて書かれています。 読んでいても頭にスッと入ってくるのは、まさにプロのライターならではの文章テクニックです。 また、各タイプの最後には「まとめ」がありますので、サッと確認したいときには、すぐにポイントだけを確認できるようになっています。 こういった読み手への気配りも、感動フリーライター山口氏のお人柄ではないでしょうか。 実践で使える「性格プロファイル」――今まで、こういった切り口の本はありませんでした。 そのため、今までは、 コミュニケーション下手と言われてきた人… もっとコミュニケーション能力を磨きたい人… など、多くの悩める方々にとっては、自分の数少ない実践の感覚だけが頼りでした。 それが、山口氏がプロのインタビュアとして蓄積された1500件を超えるデータを分析、分類されたことにより、誰もが簡単に、そして上手にコミュニケーションをとることが可能になったのです。 こういった意味でも、本書は画期的であり、多くの悩める方々にとっての最高の参考書になると思います。 本書は、ただパラパラと目を通すだけでも、十分に力を発揮してくれるのですが、できれば熟読し、いつも手元(カバンの中など)に置いておいてください。 そうすれば、プロのインタビュア、山口氏直伝のテクニックが、みなさんに勇気と自信を与えてくれるはずです。 最後になりますが、 良書に出会えたことを、心より感謝いたします。 happy 拝
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 杉村 晶孝 (著) / 株式会社ダイヤモンド社 という本です。 私の手元に本書が到着していましたので、拝読させていただきました。 タイトルの集団感染マーケティング…。 見るからに興味をそそられるネーミングです。 この言葉を見ただけで、 効果ありそう… こう感じた方も多いのではないでしょうか。 1通のちょっと変わった手紙で、新規客が殺到する!…? 面白そうじゃない…ちょっと読んでみるか… こうやって読み始められる方もおられると思います。 そういった方は、実はもう既に集団感染しているのです。 狐(きつね)につままれたように感染して読み始めてしまう… これこそが本書の中に書かれている、杉村氏が考案された集団感染マーケティングの応用なんです。 マーケティング書にはいろいろなものがあります。 堅いもの、柔らかいもの… その内容はさまざまです。 ならば、どんなマーケティング書が良いものと言えるのでしょうか? それは、堅い柔らかいより、 実践的な効果… これが得られるものなんです。 言い換えれば、 効果が出れば読み手にとっては良書… こう言えるのです。 それでは、本書は良書なのでしょうか? 答えは、まさしく良書です。 実践的な効果が得られるという意味では、そう言わざるを得ません。 あなたが、この本を手にしたら、 こんな泥臭いやり方は、ちょっと無理… こう言うかもしれません。 でも、あえて私は、 それでも、やってみる価値がありますよ… と、こう言いたいと思います。 成果を出すためには、人目など気にしない精神力も必要です。 ですので、あなたの会社やお店を元気にするためにも、ぜひ、この1冊をお手元において、ことあるごとに読み返し、実行・応用してみてください。 そうすればきっと、本書がその真価を発揮してくれるはずです。 それでは少し内容をザックリとご紹介したいと思います。 最初に、お伝えしたいのは、本書が現場の最前線の中から生まれた超実践的なノウハウであると言うことです。 杉村氏の言葉を借りれば、本書に書かれている手法は、 「…私の指先は集団感染型封筒づくりの作業で血まみれだった。 朝から深夜まで一人で汗だくになり、ねじりハチマキでインクだらけになって印刷機を回していた。…」 こうやって数々の試練を乗り越え、試行錯誤を繰り返すことで生まれた、実践的なマーケティング手法なんです。 地べたを這(は)いずりながら、それでも諦(あきら)めることなく「ど真剣」に取り組んだからこそ、手に入れられた貴重な手法だと言うことです。 ですので、本書に書かれてある数々の手法は、どれも実践向きです。 あなたの会社やお店でもすぐに使いこなすことが可能なので、迷わず即実践してほしいと思います。 それでは、幾つか内容をかいつまんで話したいと思います。 まず、みなさんにじっくり読んでもらいたいのが「序章」です。 その中でも、最初の 「お金をかければかけるほど、ものは売れなくなる!」 「広告営業マンに手玉にとられる無知なエリートMBA」 「工夫のないポスティングでは警察に通報されるだけ」 「雑誌に記事広告を出すと、広告代理店から「カモ」と見られる」 「ネット広告のコピーライターはものを売ったことがない!」 「数千万円を使った新聞大広告の無残な敗北」 「やらせブロガー記事をやると、ますます売れなくなる」 この見出しの部分をじっくりと読んでもらえば、みなさんが今までやってきたマーケティングの、何が間違っていてうまくいかなかったのかが、すぐに理解できるはずです。 ここには、一般的には書かないこと、いや、真実だけど誰もが遠慮して書けなかったことがズバリと書かれています。 ですので、今までマーケティングで失敗してきた方々にとっては、読んでいてガツンと頭を殴られるほどの痛みがあるかもしれません。 ですが、あえてジックリと読み込んでください。 そうすれば、この後に続く本編に書かれている杉村氏がみなさんに伝えたいことが、ハッキリと見えてくるはずです。 そして、この「序章」で、あえてこれらのちょっと過激な文章を持ってきた杉村氏の真剣な思いを、みなさんも感じてほしいと思います。 また、 「ここまで、徹底しないと駄目だ!」 と心から叫んでいる杉村氏の思いを受け止め、本書に書かれている「5つの方法」を使って、集団感染を爆発的に広げるマーケティングに、みなさんも真剣に取り組んでほしいと思います。 次に、もう1つだけ手短に紹介しておきます。 それは、 第2章「権威」を使って、あなた自身を演出しなさい この中にある 「麦わら帽と手ぬぐい姿になるだけで売れまくるようになる!」 この見出しの部分です。 見出しを読んだだけですと、 なんだ、それ? と、疑問に思う人も多いはずです。 ですが、本書に書かれている、 「……麦わら帽をかぶり、手ぬぐいを首に巻き、鍬を片手に持った、おもいっきりダサい姿に変身させて、挨拶文の写真にしたのだ。これが、大好評で売れに売れまくった。……」 「……待っていたって、ノーベル賞でも取らない限り、永遠に誰も取材になど来てはくれない……」 このくだりをじっくりと何度も読めば、杉村氏が何を言いたいのかが分かるはずです。 本書のどの部分を切り出しても、本音で語る杉村氏。 みなさんにとって本書の内容は、みなさんが今までやってきたマーケティング感を180度変えてしまうかもしれません。 ですが、これが現場で通用する、唯一本物のマーケティングだと思います。 それと、本書は「読んで、はい、終わり…」にするのではなく、その仕掛けを実践するところに意味があるということも忘れないようにしてください。 仕事柄、今までに何百冊というマーケティング関連の本を読んできました。 ですが、杉村氏のように「本音の技術」を書く人はいませんでした。 そう言った意味では、杉村氏は先駆者かもしれません。 先駆者としての杉村氏… その杉村氏の言葉を、最後に、みなさんに贈りたいと思います。 「こんな方法はアホ丸出しだ」と思われるかもしれないが、アホで結構、実績がすべてだ。 人からどう見られようと、なんと思われようと、どうでもいいではないか! 杉村氏が、ゲリラ仙人と言われる所以(ゆえん)。 みなさんも、本書を手に取り、その目で確かめてください。 そして、みなさんが、「ど真剣」に本書の内容を実践すれば、その価値は計り知れないものになるはずです。 最後になりますが、 良書に出会えたことを、心より感謝いたします。 happy 拝
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 水野 与志朗 (著) / 株式会社経済界 という本です。 私の手元に本書が到着していましたので、拝読させていただきました。 ブランド・マネージャー。 この言葉をまだ聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。 ブランド・マネージャーとは、 「ブランドに対するすべての政策を決定する責任者」 です。 かみ砕いて言えば、 「ブランド資産の構築・管理を目的としたマーケティング活動を統制・管理する責任者」 だと言えます。 ではなぜ、今、ブランド・マネージャーなのか? そして、なぜ、ブランドの構築が必要なのか? その答えが、本社の中に書かれています。 ですので、 ブランドなど関係ない… と、言われる方にこそ、読んでほしい内容なんです。 一般的にこのようなブランド関連本は、抽象論がほとんどです。 実務で使うためのケーススタディーを切り捨てて、抽象論だけが書かれています。 そのため、 内容は何となく分かるけど、実際には活用できない… これが現実でした。 ですが、本書は、水野氏の豊富な経験をもとにケーススタディ形式で書かれていますので、机上の空論ではなく、現実に活用、応用できます。 その上、一般的な本では行われていない、 疑問への対応… これにも、的確に応(こた)えてくれています。 ここが疑問なんだけど… 読者が疑問に思う点を水野氏の経験から予想し、それに対しての回答とも言えるポイントが書かれているのです。 こういったことからも本書は、現役のブランド・マネージャー、将来ブランド・マネージャーを目指す人、そして特にブランド構築に興味がある経営者にとって、必読の教科書であり、必読の1冊であるといえます。 ですので、ぜひ、ブランディング実務およびマーケティング実務に本書をお役立ていただきたいと思います。 それでは少し内容をザックリとご紹介したいと思います。 本書のメインはなんと言っても、ケーススタディ形式の利点を存分に生かし切っているところにあります。 ですので、全編を通して一つのテーマについて、実践形式のケーススタディになっており、課題を知識にまで引き上げられるような構成になっています。 まず、chapter2「会社の運命はブランドが決める」 ここでは、ブランドの現状分析が順をおって書かれています。 実施したプロモーションは何か? 失敗した原因は何か? こういった事項の検証から始まり、現状分析を行うに当たってのポイントなどが分かりやすく記載されています。 例えば、市場を定期的、体系的に理解するためのトラッキング・データの指標やキーについても、一目で概略が分かるようになっています。 1.消費者に関するデータ ・ブランド認知(純粋第一想起、純粋想起、助成想起) ・購入意向 ・トライアル率(市場浸透率ともいう) ・リピート率 2.流通に関するデータ ・取扱店率 ・1ヶ月当たりの1店舗での回転率、販売本数 ・実勢価格 ・チラシ露出日数 ・エンド露出日数 3.広告に関するデータ ・期間計GRP(累積視聴率) ・媒体別金額 ・期間内トピックス(クリエイティブの変更など) このように簡潔にまとめられていますので、定期分析の際は、これらのデータを集めて関連性を分析すれば良いというのが、すぐに理解できるわけです。 次に、chapter4「ブランドを成功に導く秘訣」 この章では、パブリシティへのアプローチ方法や、それに伴うプレゼン、市場導入までの一連の流れが書かれています。 実際のブランディングでは、このランディング部分が上手(うま)くいかないケースが多いですので、「秘訣」と銘打っているのは、水野氏の豊富な経験から導き出された、私たちへのエールとも言うべき言葉だというのが理解できます。 この章の中には、代理店とのうまく仕事をするためのポイントなども記載されています。 例えば、考察⑧の部分では、 代理店とうまく仕事をするにはどうしたらよいか? これは、「的確なオリエンテーション(仕事内容の説明)」「スケジュール管理」「成果レビュー」の三つを確実に行うことに尽きます。 まずは、一にも二にもオリエンテーションです。 仕事の内容、解決すべき内容が上手く伝わらなければ、いかに素晴らしい代理店であろうと意味のあるアウトプットを出すことは不可能なのです。 以下、具体的に方法論が分かりやすく記載されていて、一読すれば実行に移せるようになっています。 こうやって手取り足取り疑問点を解決することで、読者の理解を一気に進める構成は、数多くのプレゼンをこなしてきた水野氏だからこそできる、テクニックだと思います。 今まで、ブランディングに関する本を何百冊と読んできました。 これまでの本のように一般論を読み解いて実践するには、専門的知識が必要だというのが、読者の方の本音だと思います。 このハードルをグッと下げてくれる本書は、まさに、読まれた方にとっては珠玉の一冊になるのではないでしょうか。 かゆいところに手が届いた一冊… 実際に、あなたの目で確かめてみてください。 きっと、ブランディングおよびマーケティングを、一気に加速する引き金になるはずです。 最後になりますが、 良書に出会えたことを、心より感謝いたします。 happy 拝
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 西村 佳哲 (著) / バジリコ株式会社 という本です。 私の手元に本書が到着していましたので、拝読させていただきました。 今回読ませていただいた本の、著者である西村氏は、プランニング・ディレクターとしてデザイン・プランニングの講義やワークショップを行っています。 また、働き方研究家としても有名で、私も以前、西村氏がお書きになった前作を読ませていただいたことがあります。 前作も素晴らしい内容だったのですが、今作は、それにもまして素晴らしい仕上がりになっていたので、読んでいてとても嬉(うれ)しくなりました。 西村氏の本を読んで真っ先に感じるのは、優しくて、柔和なタッチの文章です。 気取るわけでもなく、堅苦しくもなく、妙に落ち着く文章… これは、西村氏の人柄をそのまま文章にしたような感じです。 (西村氏のサイトもあるので、そちらでお顔を見てもらえば、私の言ってることがすぐに理解できると思います) そして1度読み始めますと、誰もが本の中の世界に溶け込んでいく… 本当に、何度も何度も読み直したくなる一冊です。 「自分をいかにして生きる」というタイトルだけ見ますと、何か壮大なイメージで取っつきにくく感じるかもしれません。 ですが、実際の内容は、ワークスタイルとライフスタイルについて書かれた、すごく身近な題材をテーマにした本で、 「すべての働く人に読んでもらいたい」 そんな、味わい深い一冊だといえます。 また、1話1話が完結した内容になっており、最初から順番に読み進める必要もなく、自分が「フッ」と感じたものを読んでいけます。 そういった点でも、いつも側(そば)に置いておきたくなる本だといえますので、ぜひ本書を、みなさんのライフスタイルの参考にしていただけたらと思います。 それでは、少し内容をザックリとご紹介したいと思います。 章立ては、大きく分けて3つです。 「いる・いない」 「自分の仕事」 「自由とか誇りとか」 この3つの章立ての中に、幾つかの話が盛り込まれており、構成としては至ってシンプルだといえます。 ただ、読んでもらえれば分かるのですが、この構成は、本書の内容に一番ピッタリくるように、相当考え込まれて作られてるのに気付くはずです。 違和感なく、目次にパラパラと目を通して、お気に入りのページから読み進められるように考え込まれたつくりに、西村氏そして編集を担当された方々の、この本への思い入れの深さを感じます。 「いる・いない」の中のから、ご紹介しますと、 この中の 「いい仕事について」 これなんかも、とても考えさせられる深い内容になっていて、私の場合、この中の何行かをノートに書き写しています。 例えば、 「いい仕事」という言葉は、技巧や贅を尽くしたもの与えられることが多い。 《中略》 しかし高度な技巧や良い素材が「いい仕事」の必要条件なのかというと、そうとは思えない。 《中略》 掃き集められた庭の落ち葉、手書きの賀状、寝付かない子供のために枕元で母親が語るつくり話など、テレビにも雑誌にも紹介されない静かでひかえめな「いい」仕事は無数にあって、世界の隅々はむしろそれらで満たされている。 この下りなどは書き写したノートを、暇ある事に何度も何度も見て、言葉の一つ一つを味わっています。 本文を1度「サラッ」と読み流しただけですと、 「この文章の中には何かある…」 程度にしか感じないのですが、何度も読み返しますと、 「大切な何か」 が段々とイメージできるようになってきます。 それほど、奥が深くて、味わい深い内容が全編を通して綴(つづ)られているのです。 他にも、数多くご紹介したい所があるのですが、 「自分をいかして生きる」 この本に関してだけは、私の紹介文を読むより、みなさんが実際に手にとって、一語一句に込められた深い、深い思いを感じていただき、自分で「何か」を発見してほしいと思います。 時間を掛けて、ユックリと、自分のペースで読み進め、西村氏の世界にドップリと浸(つ)かって、充実の時間を過ごしてください。 最後になりますが、 良書に出会えたことを、心より感謝いたします。 happy 拝
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 大久保 秀夫 (著) / 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン という本です。 先日、私の手元に本書が到着しましたので、早速、拝読させてもらいました。 タイトルにある「決断」という言葉、私も大好きな言葉です。 ですが、なかなか実践できないのが、この「決断」でもあります。 今一歩、踏み切れない… そんな、決断できない状況に陥ったときどうすべきか? この答えが、本書には書かれています。 本書を読んでいただければわかるのですが、大久保氏が人生の中で下した様々な決断は、決して楽なものではありません。 血を吐くような思いで、「決断」されたことばかりです。 その決断の全(すべ)てを、その時々の心の移ろいやエピソード、自己分析を交えて、書いてくれていますので、 「決断のテクニック」 そして 「決断することの大切さ」 が実によく理解できます。 一読するだけでも、今後の人生において、あらゆる決断をするときの大きなヒントになることは間違いないはずです。 このような「決断」について書かれた本は多数ありますが、これほど分かりやすく、実践に役立つものは、余り見かけることがありません。 本書は、ちまたに溢(あふ)れているような単なるアドバイス本ではなく、貴重な人生の指南書であり、経営の指南書であるといえます。 ですので、そういった意味でも、ぜひ手にとって、みなさんのお役に立てていただきたいと思います。 それでは、本書の内容をザックリと紹介していきます。 最初に目を引くのは、冒頭の章の、SoftBank孫氏とのエピソードです。 これは、当時、31歳だった大久保氏と、28歳だった孫子、このまだ無名だった頃(ころ)の2人の経営者が、会社の枠を越えて共同で開発したNCC・BOXという機械を発売するにあたり、巨大企業である京セラの稲盛氏を相手に下した決断です。 1台数万円のこの機械を 「50万個こうてやる」 という稲盛氏の提案を蹴(け)って、 「僕らはこれを売りたい訳じゃないんです…ロイヤリティが欲しいんです…」 と押したのですが、結局は、数々の修羅場をくぐり抜けてきた、京セラの説得のまえに、 ついに、NCC・BOXをDDIのためだけに使うという契約書に、2人はサインしてしまったのです。 その夜、2人はビジネスホテルで、ある決断をしました。 それは、「明日、契約書を取り返しに行く」という決断です。 その後の、2人の行動は素早く、翌日すぐに稲盛氏に会いにゆき、 「昨日確かにサインはしてしまいました。でも、やっぱり納得はしていません…あの契約書を返してください」 と直(じか)談判したのです。 もちろん、稲盛氏もこの無謀な決断に 「契約書をなんだと思ってるんだ。絶対に返さん!」 と激怒しました。 ですが、2人には、もう、“引く”という選択肢がありませんでしたので、稲盛氏を前に恐怖に足を震わせながらも、何とか、契約書を取り返したのです。 この下りを読んだときは、「決断」とは何かを、真剣に考えさせられました。 果たして、こんな凄(すご)い決断が、30歳そこそこの経営者の内、いったい何人の経営者ができるのだろうか? こう考えると、2人の凄(すご)さ、そして、「決断」を下すことで人生を切り開くことの大切さを改めて感じました。 冒頭の章の、このエピソードは、ほんの数十ページですが、この部分を読むだけでも、本書を手にする価値は十分にあると思います。 決断には、ノウハウやテクニックなどありません。 ただ、真剣に、不退転の覚悟を持つだけです。 このことが、ほんの少しでも本書を読んで理解できれば、みなさんの強力な道しるべになるはずです。 この他(ほか)の章にも、様々なエピソード、「決断」の本質が、数多く記載されています。 例えば、第2章の「決断の基準」では、 ・余命3か月と仮定する ・「魂」の声を聞く ・大勢に影響のないことは気にしない ・そうすれば人は自然と王道の道を歩いて行くことができる というようなことが、決断する際の考え方や、やり方の具体例を交えて、分かりやすく書かれています。 全部で5章構成になっているのですが、どこを読んでも、「決断」の豊富な具体例が平易な文章で書かれており、サクサクと読み進められます。 また、サクサクと読み進めるからといって、内容が浅いのかと言いますとそうではなく、哲学的な内容といえるほど深い内容になっており、読み応(ごた)えも十分だといえます。 全章を通じて、著者の大久保氏の貴重な体験と、その時々の「決断」が書かれた、この一冊 ―― みなさんのこれからの人生、そしてビジネスにおいても、きっと大いに役に立つはずですので、ぜひ一度その手にとって、熟読していただきたいと思います。 最後になりますが、 良書に出会えたことを、心より感謝いたします。 happy 拝
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 山岡 隆志 (著) / 日本経済新聞出版社 という本です。 先日、私の手元に本書が到着しましたので、早速、拝読させてもらいました。 本を読んでいて、一番嬉(うれ)しくなるのは、やはり良書に出会ったときです。 こんな時は、嬉(うれ)しさの余り思わず「ニヤッ」としてしまいます。 今回拝読させていただいた、「顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング」は、まさにこの良書の最たるものだと思います。 今まで、数百冊以上のマーケティング関連の本を読んできましたが、“これは”と思える本は実に少なく、パラパラめくって“ハイ、終わり”ということも度々です。 そんな中、この本は、最初から最後まで熟読するだけではなく、一度読み終えた後、再度読み返したほどです。 私の場合、あまり友人や知人に本を強く薦めることはなく、聞かれれば「この本は良かったですよ…」程度にしか話さないのですが、今回は、思わず周りの経営者の方に、「一度読んでみては…」と強く薦めました。 それほど、この本は内容が濃く、経営者の方にとっては、とても役に立つ一冊だと言えます。 テーマは、これからのビジネス、特にマーケティング戦略においては欠かせない、「アドボカシー・マーケティング」について書かれています。 アドボカシー・マーケティングとは、 「徹底的に顧客側に立って物事を考え実行する信頼ベースのマーケティング手法」です。 “プッシュ・プル型”のマーケティングが全盛だった時代は、ネット環境も整備されておらず、お客さまは企業主導の環境でしか、情報を得ることができませんでした。 それが、現在ではネット環境も整備され、お客さまはいくらでも情報を手に入れる事ができます。 この環境変化により、「売り手(企業)主導型」から「買い手(お客さま)主導」へと時代は移り変わり、マーケティングの手法も、“プッシュプル型”から“アドボカシー型” へと確実に移りつつあります。 いうなれば、アドボカシー・マーケティングは、これからの戦略において、外せない、いや、外してはいけないものです。 この「アドボカシー・マーケティング」のエキスが、本書の中にギッシリと詰め込まれているのですから、如何(いか)に役立つ一冊であるかは、このブログを読まれている賢明なみなさんには、直(す)ぐにご理解いただけるはずです。 それでは、本書の内容をザックリと紹介していきます。 タイトルにもありますように、本書にはアドボカシーの18の法則が、実例を踏まえて詳細に記載されています。 一つ一つが独立した章立てで、どこからでも読み始められるようになっており、その上、ちょうど読みやすい分量ですので、サクサクと読み進めることができます。 こういった構成への気配りがなされている本は、あまり見かけないのですが、そこはアドボカシー哲学を広めている山岡氏だけあって、「とてもよく練られている構成だ」と感心しました。 まず、イントロダクション ここでは、「アドボカシー・マーケティング」の世界観をものの見事に説かれています。 アドボカシーとは、そして、これからの企業の在り方、顧客との関係の在り方が、この章を読むだけで理解できます。 どこからでも読み進められる構成になっているのですが、このイントロダクションを、最初に一読していただければ、みなさんのビジネスに対する世界観も変わるのではないでしょうか。 それほどのパワーをこのイントロダクションだけでも感じるはずです。 次に、第5章の「欠点も含め、ありのままを伝える(透明性の法則)」 ここでは、これぞ、「アドボカシー・マーケティング」といえることが、ポイントを突いて書かれています。 ごく一部を引用させていただきますと 「ありのままを伝える」ことをしていれば、消費者は製品やサービス自体について話してくれます。今までのマスマーケティングでは、飾り立てられたインパクトがあるコピーや映像と共に商品の素晴らしさを伝えることに力が注がれてきました。注目を集めたいがために、突飛な宣伝をひねり出すことさえありました。飾った部分が多くなればなるほど、製品やサービスは置き去りになり、企業のCMがどれだけ認知されているかが関心事となります。消費者は商品・サービスではなく、CMについて話すのです。 アドボカシー・マーケティングでは、ありのままの情報をさりげなく伝え、企業のビジョンが自然と理解される活動を創造します。商品やサービスが素晴らしい理由と熱い思いを語ることにより、企業は顧客に心から信頼されロイヤリティを獲得します。 ごく一部を読んでもらっても分かるように、「アドボカシー・マーケティング」は、これからのビジネスにおいて真剣に取り組まねばならない課題であり、ビジネスを勝ち抜いていくための必勝戦略だといえるのではないでしょうか。 この他(ほか)にも、あと17、全部で18のアドボカシーの法則が、惜しげもなく披露されています。 「立場の法則」「創造の法則」「マーケティングの法則」「ロイヤリティの法則」「透明性の法則」「質の法則」「サービスの法則」「包括性の法則」「共有の法則」「時間の法則」「誠の法則」「GIVEの法則」「主体性の法則」「ブランドの法則」「ITの法則」「バランスの法則」「関係の法則」「変革の法則」 どの法則も、理論だけではなく、豊富な実例、そして方法論までもが、詳しく書かれていますので、熟読していただければ、直(す)ぐに活用できるはずです。 各章、全部の内容を紹介できないのが、ホントに残念なのですが、続きは本書を購入していただいて、ぜひ精読してほしいと思います。 最後に、本文の一説を、もう一つだけ引用させてもらいます。 「企業が完全に顧客志向になるためには、リスクテイクする大変な勇気と決意が必要なのです。勇気と決意を持った経営者が導く企業を顧客は心から信頼し、支援してくれるのです」 西岡氏が教えてくれている、アドボカシーの哲学。 みなさんも、ぜひその目で、そして、その心で、感じてみてください。 最後になりますが、 良書に出会えたことを、心より感謝いたします。
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 白川 克 (著) 関 尚弘 (著) / 日本経済新聞出版社 という本です。 先日、私の手元に本書が到着しましたので、早速、拝読させてもらいました。 タイトルにもあります、「プロジェクトファシリテーション」 一般の方には聞き覚えがない言葉かもしれません。 プロジェクトファシリテーションとは、簡単に言えば、 「プロジェクトの現場を活性化し、人と組織の共同作業を促進する」 ことです。 こうやって書くと ―― なんだか難しそうな本だな ―― こう感じるかもしれません。 帯に「125年の老舗大企業を変えた5年間の実名ドラマ!」と書いてはいますが、私も実際に読むまでは、“実名ドラマといっても多分に理論系色の強い本では…”と思っていました。 ですが、一通り読み終わった後、その先入観はどこかに吹き飛び、“本当に実名ドラマなんだ”ということがよく分かりました。 そして、なぜ、サブタイトルに「クライアントとコンサルタントの幸福な物語」とあるのかも理解できました。 この本は、プロジェクト現場の一大感動秘話です。 あえて、このような大げさな言い方をさせてもらったのには、訳があります。 それは、この本には日頃決して語られることのないプロジェクトの裏の部分が、全て書かれているからなのです。 プロジェクトに携わる人にとって一番知りたい部分は、クライアントの立場の本音と、コンサルタントの立場の本音です。 ですので、本書のように、クライアントの立場、コンサルタントの立場で、書かれている本は大変貴重だといえます。 まさに、「一粒で2度美味しい」 ―― いや、「一粒で3度も4度美味しい」秀逸な本なのです。 みなさんも、読み終わった後、著者で、クライアントの立場の関氏と、コンサルタントの立場の白川氏が、きっと羨ましくなるはずです。 そして、 「プロジェクトファシリテーションとは何か」 「新しいプロジェクトのあり方とは何か」 その本質を体感し、実話の持つ感動を味ってください。 それでは、少し内容の方をザクッと紹介します。 最初に説明しておかなければならないのは、本書は、異なる二つの視点で書き進められているということです。 古河電気工業株式会社(以下、古河電工)の人事総務部門の業務改革プロジェクトの5年間の経緯を、クライアントの関氏、コンサルタントの白川氏が、それぞれの立場で綴っています。 ですので、これを踏まえて、内容の紹介を読んでもらえればと思います。 最初の1、2章は、人事総務部門の業務改革プロジェクトをコンサルタントに依頼するまでの過程が描かれています。 古河電工社内での業務効率に対するジレンマや、新しいことへチャレンジする葛藤が脚色されることなく描かれています。 こういった、業務改革に至るまでの経緯は、企業サイドもあまり表に出したがらないものですが、こうやって、内部事情などを全て書いてくれていることで、とても参考になります。 企業としては、どういったときに、変革を推し進めるべきなのか コンサルタントとして、企業はどういった内部事情があるのか こういった視点で読み進められるので、企業側の人間、コンサルタント側の人間ともに、書かれている内容をこれからのビジネスに役立てることができるのではないでしょうか。 次の3、4、5章は、プロジェクトの草案作りから、現実のプロジェクトにするまでの過程が描かれています。 プロジェクト立ち上げまでの、調査、分析などの手法を詳細に書かれた本は数多くあります。 ですが、本書のように、 調査、分析などの解説 + 回りの動向や感情 などが書かれたものは皆無に近いといえます。 ですので、この3、4、5章は、ある意味、気付きの宝庫です。 技術的な資料も豊富ですし、その時々の回りの動向や感情も細かに描かれているので、これほどの確かなプロジェクトファシリテーションの教科書はないと思います。 特に役立つのが、クランチポイント(困難な状況)に遭遇したときの対処法です。 3、4、5章では、いくつものクランチポイントを乗り越えていくのですが、その際の対処の方法などは、どんな本を読んでも載っていません。 中でも、第5章の「もう一度出直してこい!」~それ以降 ―― は、経営幹部を説得するためには、何が必要かがあますことなく書かれているので、企業サイドの人、コンサルタントサイドの人ともに、とても参考になるはずです。 本書には、最初から最後まで、実話の持つ面白さと、プロジェクトファシリテーションの実践のポイントが、存分に盛り込まれています。 このように色々と盛り込みすぎますと、普通なら一つ一つの内容が薄くなってしまいますが、この本に限って言えば、そんな心配は無用です。 ポイント、ポイントのエキスがぎゅっと濃縮されていますので、その内容の濃さに驚かれるはずです。 プロジェクトを推進させるためには、プロジェクトマネジメントは不可欠な要素ですが、これからは、プロジェクトファシリテーション(プロジェクトと人との関わり)が重要な要素になりつつあります。 本書には、新しい時代のプロジェクトの方向性である ―― 「プロジェクトの現場を活性化し、人と組織の共同作業を促進する」 ―― このプロジェクトファシリテーションのポイントが網羅されています。 ですので、手にとって、熟読してもらえれば、きっとプロジェクトに携わるみなさんのお役に立つはずです。 是非、一冊、お手元に置かれてはいかがでしょうか。
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 内田 耀一 (著) コイケ ジュンコ (著) / 株式会社 幻冬舎 という本です。 先日、私の手元に本書が到着しましたので、早速、拝読させてもらいました。 今回は、“伝説のマーケッターに学ぶ”というタイトルでしたので、私もとても興味深く読ませていただきました。 一通り読んで 「私のような若輩者が書評を書いても良いのだろうか」 というのが率直な感想です。 それほど、この一冊が、私に与えてくれた影響は大きいのです。 内田 耀一氏という人物。 恥ずかしい話ですが、本書を読むまで全く存じ上げませんでした。 ですので、正直言って読み始めるまでは、 「伝説のマーケッターと書いてるけど、そんなに凄(すご)いのだろうか」 と思っていました。 今考えると、内田氏を知らなかったとはいえ、このようなことを思った自分が恥ずかしくなりますが……。 ですが、全(すべ)てを読み終えた後、「伝説のマーケッター」と言われる所以(ゆえん)が、心から理解できました。 本書に書かれているどの内容も、まさに伝説と呼ぶにふさわしいからです。 内田氏が開発に携わった商品 シッカロール、JALパック、チキンラーメン、マキロン、ヴィックス・ヴェポラップ、他多数 内田氏が考えたキャッチコピー 「違いがわかる男のゴールドブレンド」「ピンクの小粒、コーラック」「頑固な汚れにザブ」「白さと香りのニュービーズ」他多数 どれもが、マーケッターの中では伝説として受け継がれているものばかりです。 内田氏は、まさに「ヒットの神様」だといえます。 未曾有(みぞう)の経済不況と言われている現代、マーケッターを志す方、経営に携わる方にとって、勉強することは山ほどあります。 経営や経済に関する技術書や専門書も読破してほしいと思います。 ですが、真っ先にこの一冊は必ず読んでもらいたいのです。 なぜなら、この一冊の中に、不況に勝つために必要な、伝説のマーケッター内田氏の知恵が、詰め込まれているからです。 この知恵を真剣に勉強し、自分のものとし、使いこなすことができれば、必ず、不況に打ち勝つ経営ができるはずです。 内田氏は2008年5月27日に永眠されましたが、本書には内田氏が我々に伝えたかったマーケッターとしての真剣な思いが切々と書かれています。 ですので、この思いを、みなさんにも受け止めてもらえればと願うばかりです。 それでは、少し内容について触れておきます。 本書に書かれているエピソードは全(すべ)て勉強になることばかりのため、かいつまんでお話しするのはとても難しいのですが、ほんの触りだけでもお伝えできればと思います。 まず、エピソード1の「常識は最初に誰(だれ)かがつくるもの」 これは、内田氏が携わったシッカロール(ベビーパウダー)のマーケティング秘話です。 今でこそ、赤ちゃんのイメージカラーはパステルカラーですが、このパステルカラーをイメージ付けしたのが内田氏なのです。 これはまさに、常識を作り出した瞬間でもあるわけです。 この時取り入れた手法が、日本で初めて行われた「グループ・ディスカッション調査法」です。 この調査法を取り入れたことで、今まで抽象的イメージによる商品開発だったものが、現実のデータを取り入れた商品開発になったのです。 ここだけを切り取っても内田氏がいかに凄(すご)い人物であるかが理解できるはずです。 そして、この実証型の調査法により、 赤ちゃん = 真っ白 という勝手な思い込みのイメージが、 赤ちゃん = パステルカラー という現実に近いものになったわけです。 ここに書かれているエピソードは数分で読むことが可能ですが、内田氏の功績は今までの常識を覆す凄(すご)いことなんです。 こういうことをサラッと書けるのも、内田氏の伝説の所以(ゆえん)ではないでしょうか。 他(ほか)にも、エピソード2の「『恥ずかしい』ものに、商品開発のチャンスあり」では、ワコールの女性下着に関するマーケティング秘話が書かれています。 1963年当時、女性の下着をオープンに話題にすることさえタブーとされていた時に、内田氏は「マーケティングの力で女性下着を売る」という不可能と思えるチャンスの扉を押し開いたのです。 エピソード中に、商品開発の調査の際、刑事に連行されたことなどが面白可笑(おか)しく書かれていますが、私はこの真剣さに頭を殴られる思いがしました。 「果たして、自分ならこれほど真剣に、仕事に打ち込めただろうか」 こう思うと、改めて内田氏の凄(すご)さを実感したのです。 そして、また、このワコールの調査でも内田氏は「グループ・ディスカッション調査法」を駆使し、新たな常識を作り出しています。 女性の方にとっては今ではごく当たり前の、 「下着のマネキンディスプレイ」 「試着室」 などが、そうです。 これらはまさに、内田氏が真剣に集めたデータと、その超人的な発想のたまものと言えます。 そしてこの流れが、女性下着初のCMへと繋(つな)がっているのですから、内田氏の才能には感嘆するばかりです。 ここまで、ほんの触りだけしか紹介できませんでしたが、他(ほか)にも後14ものエピソードが掲載されています。 全16のエピソード、どれをとっても、内田氏のマーケッターとしての真剣さが感じられます。 そして、今から数十年も前に、心理学や精神・神経医学、大脳電気生理学などを網羅して、マーケティングを行っていた内田氏がいかに凄(すご)い人物であったか、ご理解いただけるはずです。 内田氏は、病床でガンと闘いながら、最後の数日はこの本が出版されるのを唯一の励みにされていたそうです。 こんな内田氏の真剣な思いが詰まったこの一冊を、是非、みなさんにも読んでほしいと願うばかりです。 この場を借りて、 内田 耀一氏が私たちに残してくださった数々の教えと、本書を世に出してくださったコイケ ジュンコ氏に、心より感謝したいと思います。 最後に、おわりにの章での言葉を書いておきます。 「マーケティング・リサーチ業界の多くの人は、内田さんの恩恵を受けていますよ。ほとんど誰もしらないけれど」
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今回、書評の依頼があったのは、 【書籍名】 過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題 大石 哲之 (著) / 株式会社 東洋経済新報社 という本です。 先日、私の手元に本書が到着しましたので、早速、拝読させてもらいました。 今回は、地頭力をテーマに書かれたものですので、期待して読ませていただきました。 読み終えた後は、期待以上の濃い内容に、 「流石、All About“コンサルティング業界で働く”ガイドの大石氏の著書だけあるな」 と大満足しました。 ケース問題に対する思考プロセスを書いた解説系の本は、概要をザクッと説明して終わりというケースがとても多いのですが、本書は、細部まで手取り足取り、事細かに思考方法と分析方法が書かれていることには驚かされました。 今までも、何冊ものケース問題の解説書系の書籍を読みましたが、ここまで分かりやすく詳細に書かれたものはなかったように思います。 そういう意味では、本書はトップクラスに位置する良書だといえます。 また、このようにとても分かりやすい内容ですので、戦略系コンサルティング業界を目指す人だけではなく、それ以外のビジネスパーソンの方にも、思考力を鍛えるトレーニングマニュアルとして、強くお薦めしたいと思います。 まず、本書の概要ですが、実際に外資系の戦略コンサルティング会社で採用試験に出題された、「地頭力」を問うケース面接の問題20問が提示されています。 ちなみに、ケース面接とは、仮説力、論理思考力などの「地頭力」を試す面接で、戦略系コンサルティング会社では、多数の応募者の中から、コンサルタントに必要な「地頭力」のある人材を採用するために、必ずといって良いほどこの面接方法が行われています。 そして、このケース面接問題に対して、現役の戦略系コンサルタントが模範解答例を分かりやすく、詳細に解説する組み立てになっているのです。 構成方法も、1つの問題に対して、思考の組み立てや分析が、実際の思考プロセスに沿って時系列に書かれていますので、非常に読みやすく、理解が深まる構造になっているといえます。 このような構成にしたのも、この本を読むすべての人に、戦略系コンサルタントの思考プロセスを疑似体験してもらうことで、思考のレベルアップを図ってほしいという、大石氏の願いが込められているのでは、と思います。 では、内容について少しご紹介しておきます。 前半部分は、何らかの前提を推定して問題解決を図る「フェルミ推定」系の問題が、10問出題されています。 ここでは、制限時間の中で、仮説と論理展開を用いて解を推定することにより、結論を導き出すため、全体を俯瞰(ふかん)して考える能力が必要とされます。 例えば、 「シカゴにピアノ調律師は何人くらいいますか?」 という、フェルミ推定の代表的な問題が思考プロセスとともに記載されているのです。 具体的には、 需要量=供給量 と仮定し 調律師の数=調律の需要÷1人が調律できる件数 という公式をもとに、約8ページに渡り推定を進めています。 要素分解の方法、推定の具体的方法、検証方法などが、詳細に図解されていますので、誰(だれ)もが直(す)ぐに思考プロセスのポイントを理解できるはずです。 後半部分は、ビジネスシーンを想定して対応を考える「ビジネスケース」系の問題が、前半と同じく10問出題されています。 ここでは、ケース面接の本丸といえる、自分でストーリーを組み立てて思考を展開する能力が必要とされます。 前半部分が基礎能力としますと、後半部分は実践能力といえます。 例えば、 「羽田空港の利用者数を増やすにはどうすればいいのでしょうか?」 というような、ビジネスシーンにマッチした具体的な問題が記載されているのです。 この問題は、前半部分の「フェルミ推定」問題で出題されている 「羽田空港の1日の利用者数は何人か?」 とセットになっていて、問題の構成も実によく練って考えられているといえます。 具体的には、 利用者数=離発着数×1機あたりの平均利用客数 という公式をもとに、約11ページに渡り理論を展開しています。 基本的なストーリーの組み立て方に始まり、個々の仮説への、アプローチの仕方と分析方法、論理展開による結論の導き出し方までが、時系列に沿って図解を交えて解説されており、とても分かりやすい構成になっていますので、一見難しい内容もスッと頭に入るはずです。 このように、本書を読み込んでトレーニングすれば「ジェネラルな問題解決思考エンジン」を誰(だれ)でも簡単に身につけられるようになっています。 ですので、外資系戦略コンサルティングに就職、面接を考えている方には、是非、1度目を通しておいてほしいと思います。 それともう1つ、一般的にこういう専門的な解説系の書籍は、 「コンサルタント向けでは…」 と思われがちです。 ですが、本書は、「地頭力」を必要とする思考法が「いかにビジネスパーソンにとっても重要な要素であるか」を再認識させてくれる一冊であるともいえます。 ですので、社会で活躍されている様々な方に、自己啓発やスキルアップを兼ねて、是非、目を通していただければと思います。
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